患者にとって「保険診療+美容医療」がベスト
特に医療脱毛はニーズの多さ、機械の扱いやすさから障壁が低いと考えられており、皮膚科以外のクリニックも参入しています。しかし、皮膚科専門医の私でさえ、医療脱毛を始めてから5年近くたっても「この肌にレーザーを当てても大丈夫か。やけどはしないのか」と判断する際の緊張感はなくなりません。それほど見極めが難しいのです。ですから、専門外の医師が医療脱毛を始めるのであれば、せめてやけどの治療法は習得しておいてほしいというのが本音です。
私自身は保険診療、美容医療どちらにも力を入れ、それぞれのメリットを活かせる「ハイブリット皮膚科」を提唱しています。それによって費用の面も含め、患者さんにとってベストな治療法を提案できるからです。実際、ニキビの治療などで美容医療の施術を希望して来院した患者さんであっても、まず保険診療で薬を処方し治療した後、それでも治らなければ美容医療に切り替えることもあります。
今、美容医療は若年者だけでなく高齢者、女性だけでなく男性にも広がっており、ますます皮膚科の専門知識をもって判断する場面が増えています。これ以上、不安な思いをする患者さんを増やさないためにも、皮膚科専門医による医療脱毛クリニック、美容クリニックはもちろん、患者さんのために理念を持って医療脱毛、美容医療を提供するクリニックが増えてほしいと心から願っています。