「仕事のつながり」や「未来の姿」を見せる
上司が共感し、寄り添う姿勢を見せることで、若手の方はようやく、上司の言うことにしっかり耳を傾けようという気持ちになるはずです。そのうえで、次の2点を心がけてみてください。
1点目は、未来の姿を見せ、今やっていることがそこにつながっていることを少しずつわかってもらうことです。
昔は、「この会社に入れば、将来社内でこんな風にキャリアを重ねていけるんだな」というざっくりした未来が見えていたと思います。しかし今は、それが見えない時代です。若手が抱えている不満は、未来が見えないことに対して感じている不安の裏返しなので、上司は「未来を見せること」を意識して伝えるようにしてみてください。
最初のうちは、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できることはなかなかありません。また、先ほども触れた通り、若手には、自分が今やっている仕事の意味や位置づけが見えていないことが多いので、そこを丁寧に伝えるようにするといいでしょう。「あなたが今やっている仕事は、社内や社外のこんな人たちに役立っている。そしてこの経験や、この仕事をきっかけに作られる人脈が今後、リーダーの立場になったときに生きてくるよ」など、その仕事が、誰にどのように役立っているのか、つながりを見せてあげるのです。また、「この研修は将来、あなたがこういう業務をするときに必要になる」など、今やっている仕事がこの先どうプラスに働くのかについても、説明します。
そうすることで、今やっていることは価値のあることで、本人の成長にもつながるということを、本人が納得できるようにしていきます。
細かくフィードバックして成長を実感させる
2点目は、成長を実感させることです。
今、自分のやっていることは、ちゃんと成長につながっている、少しずつでも前進しているということを実感させてあげるのも、上司の重要な役割です。日々、その場その場で指示を与えて終わりにするのではなく、何ができるようになれば本人が成長を感じられるのかをヒアリングしながら目標を設定し、それに対してどれくらい達成できているか、進捗状況をフィードバックすることが大切です。
たとえば、議事録の作成、企画書の作成や取引先への商品提案についても、最初は先輩や上司に手伝ってもらったり、修正してもらいながらやっていたのが、だんだん一人でできるようになってくる。こうした状況を、上司は「できて当たり前」ではなく、「できた」ことを細かく評価して、フィードバックします。
その過程で「早めにSOSを出せたのはよかった」「チームのメンバーに事前に連絡をしておいてくれて助かった」「よくチャレンジしたね」など、ちょっとしたところを褒めたり、認めたりするのも、上司の腕の見せどころです。「こんなことまで」と思うようなところまで、言葉にして伝えます。すると、「ちゃんと見てくれている」「評価してくれている」とわかって本人は安心できます。