「育ててくれている」「成長機会を与えてくれる」と実感
こうして、小さな目標を達成することは、成功体験につながります。これを積み重ねることで、「育ててくれている」「ここでも成長できる」という実感が生まれてきます。
部下の中で、前進しているという成功体験が積み上がれば、本人も自信がつきますし、「会社が自分を育ててくれている」「成長の機会を与えてくれている」と実感できるようになるでしょう。
「なぜ上司がそこまでやらなくてはならないのだ」と思うかもしれませんが、「なぜ今の若手はこうした言動を取る傾向があるのか」といった背景を理解してほしいと思います。上司や会社と信頼関係を築き、やるべき仕事について納得さえすれば、「成長意欲の高さ」はそのまま仕事へのモチベーションに変わり、高い能力を発揮するポテンシャルの高い若手に変わる可能性があります。
「経験も実力もないのに不満ばかり言っているやつに、こちらから歩み寄る必要なんてない」と放置してしまえば、せっかくの可能性を腐らせてしまうことになります。最初は面倒かもしれませんが、こうした若手の心に火が付き、自分で走りだせるようになるまで、何とか上司が導いていってほしいと思います。
構成=池田純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。