SNSの「キラキラした同世代」から影響
もう一つは、理想と現実のギャップが広がりやすいためです。
絶えずSNSで、仕事で活躍する同世代のキラキラした様子を目にして影響されているために、自分もすぐに同じように活躍できるだろう、そうあらねばならないという思いが強くなっています。でも実際は、地味で目立たない仕事、雑用を任されることも多い。それが受け入れられなくて、やる気が出ないのです。
さらに最近の若い人たちは「成長」に対する意識が非常に強く、「早く『何者か』にならなくてはいけない」という焦りを感じているように思います。学生の時は、成長意欲を持つことは良いことと捉えられていましたし、学校から成長機会を与えられるのは当たり前だったかもしれません。それで、会社を学校の延長線上のように捉え、「自分を成長させてくれる場所であるべき」と考えてしまうのです。しかし、実際は必ずしもそうではありません。
本来、自分がそこで成長できるかできないかは自分次第。まずは自分が会社にどう貢献するか、どうすれば会社の業績が上がるのかを考えなくてはいけないのに、そういった当事者意識が欠けてしまっているのです。
昔は会社に入ったら、多少つらい思いをすることはあっても、将来の給料も退職金もある程度保障されていました。しかし今は、たとえ大企業であっても、安定が約束されているわけではありません。「この会社は自分を成長させてくれる場所ではない」と思うと、会社に対して不安しか残らなくなってしまうわけです。
「わがまま」な若手のモチベーションを上げるには
「自分の成長」「自分がやりたいこと」ばかりで、実力や経験が伴っていないのに「評価してくれない」と不満ばかり言う。上の世代から見ると「わがまま」に見える若手の姿勢も、実はこうした時代背景と、それに伴う意識の変化から生まれたものですから、上司が叱っても仕方ありません。
叱るよりも、まずは共感し、寄り添うところから始めてほしいと思います。
まず上司は「あなたたちが望んでいるものを会社が提供できていないのであれば、確かにやる気は出ないだろうし、不安にもなるだろう」と寄り添ってみてください。「自分も長年、仕事をしているけれど、ずっとモチベーションが高かったわけではない。やる気が出なかったこともあるよ」と、実際に自分のモチベーションが下がって、悩みを抱えていたときのことを話してみるのもいいでしょう。
「周りに理解者が全くいない」となると、若手の心は会社から離れていくばかりです。そうなると本人も会社の中で孤立し、どんどんいづらくなって結局、退職という選択をすることになってしまいます。まず共感して、寄り添う。そこから始めてください。