「孤立してしまう」「疎外感がある」「ここの社風や価値観に合わない」と思っていると、どうしても表情が硬くなり、感情の起伏が外に表れにくくなります。ずっと無表情だと、「この人は何を考えいてるのかわからない」となって、周りからすると、余計に取っつきにくく感じるようになってしまいます。

上司からもパスを出す

新しく入ってきたメンバーが、チームになかなかなじめていないと気付いたら、上司のほうから質問するなどして、パスを出してあげてほしいと思います。

チーム内で自然に使っている略語や業界用語も、初めて聞く人にとってはわかりにくいものです。「今、○○について話していたけれど、初めて聞くとわからないかもしれない。この言葉の意味はわかったかな」などと、ちょっと確認するといいでしょう。上司のほうからこうしたパスを出せば、部下も話しやすくなりますし、なじんでいくきっかけになるかもしれません。

コミュニケーションを深める手段の一つに飲み会もありますが、そもそもなじむのが難しい人は、大人数の輪の中に入るのが苦手な人も多いので、まだ先のことと考えましょう。最初は1対1や、年次の近い先輩を交えた3人ぐらいで話して、慣れてきたら徐々に人数を広げていくといった配慮が必要です。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。