普段よりも「五月病」が増える
5月ごろに増える、体がだるい、夜眠れない、やる気が出ないなどの心身の不調を「五月病」といいます。正式な病名は「適応障害」で、新年度の環境変化に適応しようとして、過剰適応した結果、発症する疾患です。倦怠感や疲労感、不眠、不安、動悸、頭痛、腹痛といった、さまざまな症状としてあらわれます。(五月病について詳しくは連休明けに会社に行こうとすると涙が止まらない…小さな不調をあなどると危ない「五月病」の真実を参照。)
ここ数年のコロナ禍で働き方が変わり、今年の五月病は、いつもと少し違う様相を呈しています。感染拡大予防対策が緩和されつつあり、特に4月に入ってからは、それまで在宅勤務が中心だった会社で出勤の日数が増えたり、出張や転勤、クライアントと対面で会うことも多くなったり、また、歓送迎会などの飲み会が開催されたりすることが増えているようです。
そうすると、人に会うのが苦手だった人や、職場の人間関係が疎ましいと思っていた人にとっては、対面で人と会うことが増えてストレスになるでしょう。また、これまでは在宅勤務を組み合わせることで育児や介護と仕事の両立が比較的スムーズにできていた人にとっては、また大変になるかもしれません。仕事の環境や生活パターンが変化することで、普段の5月よりも、五月病に至る可能性が高まっています。
「見た目」「仕事の様子」「人との関わり方」でわかる兆候
五月病は悪化すると、うつ病につながる恐れがあります。早期発見し治療につなげられれば、回復も早まるので、上司など周りの人が早めに兆候をつかむことが大切です。
対面であれば、オンラインに比べて兆候に気付きやすくなります。ポイントは「見た目」「仕事の様子」「人との関わり方」の3つです。
1点目は表情や外見など「見た目の変化」です。今までと違って、ずっと浮かない表情をしていたり、疲れた様子や眠そうな様子が続いていたら要注意です。「最近、無気力で覇気がなくなった」など、表情の変化に気を付けるようにしてください。あいさつの声が小さくなったり、声に張りがなくなることもあります。さらに、髪型や服装など、身だしなみが行き届かなくなるなども、兆候の一つです。