「結婚維持活動」が「昭和妻」化を防ぐ

しかしキャリア妻をうまく利用して出世に活かすタイプの男性もいる。男の沽券にこだわらず、「MBAで留学したいからお金かして!」とさらり言える性格の男性なら、妻の経済的バックアップを享受できる。どうやら35歳以下になると、「男の沽券」にこだわらない男性が増えてくるので、「同類婚」カップルもうまくいくようだ。

京都大学を卒業し、大手商社に勤めている32歳のTさんは、同じ京大卒の夫が、会社を辞めてMBA取得を目指すと言っても、止めなかった。2人の子供を持つ彼女は、「今は私が一家の大黒柱ですが、いずれ回収できますから」と頼もしい。仕事を一時中断してもキャリアアップを考える男性にとっては、稼ぐ力のあるキャリア女性が「出世させる妻」になりうるのである。「同類婚」型は比較的、最近の風潮だ。40代以上では「ゲゲゲの女房」型が、最も「出世させる妻」の可能性が高い。ただし、「ダメにする妻」であるリスクもある。

むしろ、稼ぎのない「ゲゲゲの女房」型は、「同類婚」型に比べてリスクが高い。なぜなら、結婚後、とくに第一子出産後に「昭和妻」となる場合が少なくないからだ。

「昭和妻」とは、バブル期の負の遺産である。休暇はハワイ、子供は私立、自分はブランド物……。一方、夫には「なけなしのお小遣い」しか渡さない。収入減を理由に復職などを求めても、「あなたが養ってくれるって言ったでしょう?」と拒否し、生活レベルは絶対に下げない。なかには、「稼がない昭和妻」が家計破綻を招いたケースさえあった。

いくら稼いでも小遣いは上がらないから、仕事へのモチベーションは高まらない。ある心療内科の医師は「男を去勢する妻」と呼んでいた。こうした家庭では「夫は長男扱い」になるので、当然「親子間」はセックスレスになる。妻子を養うためだけに必死で働き続ける夫は、女にもモテず、出世もできない。