できる人間にできる仕事を任せても、会社も個人も成長しません

若い社員が多いだけに、家庭と仕事を両立する女性が少ないこと、急成長ゆえの人材不足から早期抜擢を行わざるを得ないという背景もあるのではないかと問うと、「わが社は外部資本のない、社長が100%オーナーの会社。今、従業員数1400人ほどなので、役員が20人くらいいてもおかしくありませんが、役員は社長と僕だけ。だから、経営の自由度が高いのは確かです。ですが、創業17年、年130%の成長率を上げる中、社員数はずっと増え続け、売り上げも従業員数も3年で2倍に。うちは“人は抜擢しないと成長しない”という考えですから」との回答を受け、腑に落ちた。

社員数の変遷
抜擢までの最短期間

同グループのリーダー職に就くまでの平均期間は2年3カ月。早い時期から責任ある仕事を任せていかないと、社員も会社の成長についていけないのだ。「そもそも、できる人間にできる仕事を任せても、会社も個人も成長しませんし、できなくても、信じて任せるからこそ人は成長するのです」(藤本さん)と、早期抜擢がやりがい創出につながるようだ。そのぶん、研修などの教育制度を充実させてフォローしているのかと考えたが、「リーダー研修はありますが、研修でリーダーは育ちません」と、藤本さんは断言する。しかし、早期抜擢にリスクはついて回る。どんなに優秀な人材だとしても、だ。

レバレジーズ 執行役員 藤本直也さん
レバレジーズ 執行役員 藤本直也さん

「失敗してもいいんですよ。上司が目を配っていますし、誰かがカバーしますから。僕たちの仕事の失敗は、“失敗”ではなく、“事業の停滞”。新規事業を軌道にのせるために、今月、来月うまくいかなくても、半年後にうまくいっていればいいんです。また、本人がどう思っているかを重視するので、失敗して『リーダーを辞めたい』と言うのなら降格させますが、絶対にやりきりたいと言うなら継続させます。そういう人間は、最後にはやり遂げるし、部下もついていきますからね」という藤本さんの言葉に、同グループが急成長している理由があるのだろう。

社員の成長が会社の成長につながることを知っているからこそ、早期抜擢によるリスクをものともしないのだ。

15年度新卒入社、レバレジーズメディカルケア、メディカルキャリア事業部のグループマネージャーを経て、現在、第2子を出産し育休中の赤木香澄さんに、抜擢されるまでの様子を教えてもらった。

レバレジーズメディアカルケア メディアカルキャリア事業部 グループマネージャー(現在育休中)赤木香澄さん
レバレジーズメディアカルケア メディアカルキャリア事業部 グループマネージャー(現在育休中)赤木香澄さん

「基本的に意欲の高い社員が多く、月1回の上司とのミーティングで『リーダーになりたい』と伝えておくと、『こういう視点が足りないから、ここを改善しておかないと、リーダーになったら苦労するよ』とフィードバックをもらえるんです。メンバー時代に教育してもらえるので、リーダーに抜擢されても即戦力として働ける下地が備わるんです」

藤本さんが、「会社の成長を止めないためにはリーダーを生み出し続けなければならない」と話すように、会社全体でリーダー育成に対する目配りがされているよう。