疑いをかけられる行為は控えるべき

相談者の方は、ぜひ風俗店のことを話す同僚の方を反面教師として、それを学びの機会と捉えていただきたいと思います。

「学びの機会? そんな反面教師などいなくても、自分は同じことはしない」と、お感じになられたでしょう。

ごもっともですが、そんなハラスメントまがいの行いを見たら、あらためて考えたいことがあります――ハラスメントの疑いをかけられるような行為を控えることについてです。

今から15年以上も前ですが、私は大学院で非常勤講師をすることになり、その頃お世話になっていた弁護士先生に、雑談の中で、それを伝えたことがありました。

すると先生は、開口一番「セクハラに気をつけなさいよ」と言うのです。何を言うのかと驚きましたが、冗談にしては、表情が真面目すぎます。

「先生、ご冗談でしょう。私がそんなふうに見えるのですか」と返すと、「そうではないが、大学の教員や講師が、セクハラの行為者として告発されるケースが非常に多いのだ」と言うのです。

ハラスメント
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確かに当時は、私の出身校の国立大学でも、東京の有名私立大学でも、教授による女子学生へのセクハラというニュースが取り沙汰されていました。

弁護士先生も30年以上、大学の法学部で非常勤講師をされているそうですが、その法学部には女子学生はほぼ在籍しておらず、そんな事態は起こりようがないとのこと。それでも、私がたずさわることになる大学院には多くの女子学生がいるだろうと言います。

純粋な恋愛関係になる可能性も……

「よくあるのは……」と、話が続きます。

男性教員と女子学生が純粋な恋愛関係になるのは、男と女なのだから、あり得ること。それで関係のできた2人が、あるとき教室で抱き合っていた。

そこへたまたま誰かが入って来たとき、女子学生が動揺して「キャー、イヤだー」と言う。

これがよくあるパターンで、「そうなったら、それでおしまい」というのです。

男性教員が立場を利用してのことではなかったのですが、女子学生が「相手が教員なので断れなかった」とでも述べたら、誰も男性教員の弁解を信用することはなく、明らかなセクハラ行為とされてしまう。

弁護士先生は、「君も、そんなふうにされたら困るだろう」と言います。