トラブルに巻き込まれないよう気をつける
私たちも、ハラスメントを疑われるような行為には十分に気をつけ、そうしたリスクとは距離を置いておきたいものです。
私は以前、警察官の方と世間話をしていて、「最近、なぜか夜道で変わった人に出会うことが多いのです」と話したら、「できるだけ灯りの多い、大通りを歩いたりして、気をつけないと」と言われ、正直なところ「まるで子供にするような、当たり前すぎるアドバイス」と感じたことがあります。
また、書きものをするときに、弁護士先生に「これをこう書いたら、問題になると思いますか」と尋ねて、「詳細はともかく、問題になるかと思えることは、書くのを止めるべき」と言われたこともあります。
「問題になるか心配なことを書くよりも、それを取り扱うこと、そのものを止めてほしい」「テクニカルなことよりも、あなたがトラブルに巻き込まれないようアドバイスするのが私の仕事です」と言われ、そう返されては元も子もないと感じたものです。
しかしながら、時間を置いて考えてみると、彼らのアドバイスはもっともなことを言っていて、実に正しいのです。事故は生じる可能性があるのだから、巻き込まれないように気をつけなさいというのは、確かにその通りでしょう。
相談者の方は、職場の同僚の方について、感じておられる通りですから、直接注意をされてもよいのですが、機会があれば、こんな話を伝えて差し上げてもよろしいかと思います。
もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』(光文社)『英語で学ぶトヨタ生産方式』(研究社)『英語で仕事をしたい人の必修14講』(慶應義塾大学出版会)など多数。