パートナーを病院に連れていきたいときは

こんな方法もあります。

和田秀樹『ぼけの壁』(幻冬舎新書)
和田秀樹『ぼけの壁』(幻冬舎新書)

たとえば、夫が認知症と思われる場合、妻が「私、最近もの忘れがひどいので、病院に付き合ってくれない?」というのです。そして病院に着いたら、「一人じゃ心細いから、一緒に診察を受けてくれない」と夫にも受診をうながすのです。

では、そのようにして、医者に連れていくとき「何科」を受診すればいいのか? ――近くに、もの忘れ外来、老年科、精神科、脳神経外科、神経内科、高齢者専門病院などがある場合は、むろんそれらの病院で、専門医の診察を受ければいいでしょう。

一方ない場合は、高齢者の場合、遠くの専門病院まで通うのは大変だと思うので、まずは地域医療に熱心な開業医の先生に相談してみるのが、現実的な選択になると思います。

専門医でなくても、「認知症の疑いがある」かどうかは判断できます。その医師が、認知症の疑いが濃いとみれば、信用できる「もの忘れ外来」や老年科、神経内科などをすすめてくれるはずです。

和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)など著書多数。