※本稿は、和田秀樹『ぼけの壁』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
認知症の進行を遅らせる3つの「生活習慣」
認知症介護の要諦は、本人が今までどおりに、いろいろなことを「続けられる」ようにサポートすることに尽きます。
逆に、「もう、ボケたのだから、仕方がない……」と、いろいろなことをやめさせるのは、最悪の対応です。仕事をはじめ、家事、車の運転、お稽古ごとなどをやめさせたり、財布や通帳を取り上げたりすると、認知症はみるみる進んでいきます。
また、親を家に閉じ込めてはいけません。自由に外に出ていれば、いろいろな人とのコミュニケーションの機会があり、それが認知症の進行を遅らせることにつながります。
たとえば、お稽古ごとの教室に通っている場合は、教室の先生と相談しながら、行けなくなる日まで通わせることです。「危ないから」「迷惑をかけそうだから」とやめさせると、認知症の進行が速くなります。
私は、認知症の進行を遅らせるには、3つのことが必要だと考えています。それは、「人との交流」「適度な運動」「趣味」の3つです。
その一方、認知症の進行を加速させる3つの悪しき生活習慣もあります。「引きこもり」「運動不足」「無趣味」の3つです。家族が患者を家に閉じ込めると、これらのマイナス要因が、まるでポーカーのスリーカードのようにそろってしまうのです。