また、腰が反ると相対的にお腹がぽっこり出てしまいます。背中の筋肉の動きは大きく制限されるので、背中の筋肉は次第に固くなり、しなやかさを失います。血液やリンパ液の流れが悪くなって、首や肩まわりのコリを引き起こします。
「胸を張ってがんばる姿勢」は、体に良いことは一つもありません。疲れて、体に負担をかけて、スタイルも悪くなってしまうとても残念な姿勢です。大切なのは、まずは背中の筋肉をゆるめ、体に余計な力を入れなくてもスッと立ち、座るということです。「がんばる姿勢」をやめることを、がんばりましょう。
筋肉をゆるめることを意識したほうがいい
もうひとつ大事なことがあります。体に力を込めるだけではなく、「心」に力を込めることも、実は筋肉の固さにつながります。胸をピンと張ってがんばる人にありがちなのですが、「こうあらねば」「こうあるべきだ」と思い込んで思考が固くなると、筋肉も固くなります。
心と体はつながっています。嫌いな人と会ったり、苦手な人と電話をしたり、人前に出てあがったりすると、無意識に人の筋肉は固くなります。イライラしたり、緊張したりすると、脳が戦闘モードになり、交感神経が優位になるため、筋肉も収縮反応を起こして固くなるのです。
一時的に固くなるのはよくあることです。緊張がゆるむと筋肉もゆるむので、問題ありません。ただ、ストレス状態が続くと、筋肉の緊張状態が慢性化し、そのまま固まってしまいます。
「思い込み」がある人は要注意
自律神経の乱れは、背中の筋肉の固さとしてあらわれます。自律神経が乱れると、脊柱起立筋(背骨に沿って、首から骨盤までつながっている大きな筋肉)が固くなるからです。次のような「思い込み」がある人は要注意です。
・メールはすぐに返信するべきだ。
・部屋はいつもきれいにしなければいけない。
・自分が決めたことは守るべきだ。
「こうあらねば!」「こうしなければ!」という思い込みが強い人は、背中が固くなっています。自分が決めた「枠」があちこちにあって、はみ出すことを自分にも他人にも許さない人……。体は正直なので、イライラや怒りにすぐに反応します。
思い込みを取っ払うことができれば一番ですが、人の性格やクセはそう簡単には変えられません。簡単なのは、体からアプローチすることです。体と心は常に影響し合っています。背中をゆるめて背骨や骨格の歪みを正すことで、自律神経を整えることが可能なのです。つまり、背中をゆるめれば、思考の固さも自然にゆるまります。
いろいろなことが許せる状態になると、心も体もびっくりするほどラクになります。