「他人からよく見られたい」という虚栄心に注意

子どもに限ったことではありません。人から認められたい、人から評価されたい、人から称賛されたい、と思うのは人間の本性です。多くの人は、人にホメられることがうれしくて懸命に働くのです。

これは「自分のことをよく見せたい」「立派に見てもらいたい」という虚栄心の発露でもあります。

嘘に押しつぶされる概念
写真=iStock.com/BBuilder
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丹羽宇一郎『生き方の哲学』(朝日新聞出版)
丹羽宇一郎『生き方の哲学』(朝日新聞出版)

ただ、この虚栄心には、気をつけなければいけない落とし穴があります。

それは「もっとホメられたい」と努力し、そのあげくホメられるためだけに働くようになることです。

そうすると、評価を求めてデータをごまかしたり、ウソをついたりするようになりかねません。つまり「他人からよく見られたい」という虚栄心の悪いほうが出るのです。

本来は、仕事の喜びと面白みを見いだすための努力です。努力の方向を間違えないようにしなくてはなりません。

丹羽 宇一郎(にわ・ういちろう)
元伊藤忠商事会長・元中国大使

1939年、愛知県生まれ。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事入社。98年、社長就任。99年、約4000億円の不良債権を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年、会長就任。10年、民間出身で初の中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会会長。