最初から面白い仕事などない

「仕事に喜びや面白さが見つけられない」「仕事にやりがいを感じることができない」という人には、「あなたの仕事について、人にホメられるように努力をしなさい」という言葉を私から伝えたいと思います。

自分が好きな仕事は何か、誰もが最初からわかるはずがありません。生まれながらにして好きなものがある、得意なものがある、それはごくごく限られた一部の人たちの話です。

人にホメられるように努力を重ね、実際にホメられた。そのとき、その仕事が好きになり、面白くなり、得意になっていきます。

仕事に喜びを見つけられないのは、人のせいでも、環境のせいでも、遺伝子のせいでもなく、あなた自身の努力不足のせいだと言えます。

だから仕事の喜び、面白さ、やりがいのありなしなどは、本人が努力してから言うことです。努力もせずに、放っておいたら面白くて好きになった。そんな仕事はどこを探してもありません。

ホメられることが自信につながる

胸に手を当てて、子ども時代を思い起こしてください。子どもにとって最もホメられたい対象は両親です。

親から褒められる男の子
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

テストで100点を取った。試合でホームランを打った。描いた絵が金賞をもらった。

「えらいぞ、よくやった」と親にホメられて天にも昇る気分になった。今度も絶対、満点をとってやる――。

あるいは、先生にホメられたのが契機になって作家になった人がいます。先生にホメられて、ピアニストになった人もいます。敬う人のひと言が動的要因となり、人は変わるものです。

これは私の経験知でもあります。

70年も前のことですが、中学生のとき、職業適性テストで「あらゆる職業に向いている」という評価を得て、先生が全校朝礼で「ものすごい結果を出した生徒が一人いる」と話しました。私だけが「自分のことだ」とわかりました。

「豚もおだてりゃ木に登る」で、私も、「そうか、おれは努力すれば何にでもなれるのか」と自分の心の中でひそかに人生に光が差したような気持ちになり、何か自信を持つことができました。

遠足の感想文を読み上げたとき、「君は文章がうまいね。作家になれるかもしれませんよ」とみんなの前で先生からおだてられ、すっかりその気になった私は高校で新聞部に入部しました。