会いたいなら会っていいんだ

会ったら大変なことになる相手に、会いたがっている自分。

「もう会わない」と決めたのに、自分との約束を破っていいんだろうか?

どうしたらこの欲求を抑えて自分を守れるのか、めちゃくちゃ悩みまくり、通っていた精神科医の医師に相談すると、意外なことを言われました。

【医師】「会いたいなら会っていいんですよ」
【私】「ええっ?! いいんですか?」
【医師】「それが自分の気持ちなんだから、従っていいと思いますよ」
【私】「いいんだ……」
【医師】「会ったらなにかまずいことがあるんですか?」
【私】「親が、いまさらなんなんだ、ってすごく怒るかも」
【医師】「怒らない、怒らない。親のほうは、5年無視されててもなんてことないですよ。娘がヘソ曲げてるな〜、くらいのもんですよ。赤ちゃん連れてきたら受け入れますよ。もし拒絶されたら、それはそれで受け入れるしかないよね」

たしかに、すごくシンプルなことでした。

この頃の私はまだ、「親が自分に怒る」という現象を自分の問題としてカウントしていました。親と自分の境界線があいまいだったと思います。

その後、「拒絶されても受け入れる」と覚悟を決め、赤ちゃんを見せたいと親に連絡をとりました。医師の言うとおり、両親はすんなり承諾してくれました。

最初は実家の近くにも行けなかった

最初は、私が実家の最寄駅に行くこともできない(実家に近づくと体調が悪くなる)のでレストランで会ったり、徐々に時間をかけて、実家に行けるようになりました。でもしばらくは、両親と一緒にいる空間でマスクをはずすことができず(コロナになる何年も前です)、下を向いて固まってしまったり、という異常な感じでした。

しかし両親はケロッとしていて、私のそういう態度と、自分達の行いをくっつけて考えている様子は一切ありませんでした。医師の言う「娘がヘソ曲げてるな〜、くらいなもん」という表現がピッタリでした。

それ以前の私は「ケロッと両親」に対して「どうして私の気持ちを分かってくれないんだ、聞きもしてくれないんだ、知りたいと興味も持ってくれないんだ。余計なことや不必要なことばかりしてくるくせに」という猛烈な怒りを感じていました。

再会してからも、コンスタントに会うようになるまでは紆余曲折があり、母が言ったりやったりすることに絶望してまた何年も連絡を絶ったり、また会いたくなったら会ったり、をしながら、何年もかけて徐々にいまの感じになっていきました。