「資産所得倍増」以前に所得が少なすぎる
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査」を見ても、現役世代の保有している金融資産がそれほど多くないばかりか、そもそも金融資産を保有していない世帯が3割前後いるという結果になっている。
岸田首相は昨年行われた自民党総裁選で「令和版の所得倍増を目指す」と宣言した。
それはいつしか消えてしまい、気付けば「所得倍増」ではなく「資産所得倍増」に代わってしまったが、いまこそ改めて「令和の所得倍増計画」を打ち出し、実行すべきだろう。
投資というのは自己責任の下で行うものであり、誰かに強制されて行うものではない。リスクを取って投資をしなければまともな生活が出来ないような環境を放置することは国として誤った態度と言わざるを得ない。
まずは目先の物価高対策として、財政政策で家計や企業を支えながら、中長期的には国内の供給能力を増強するような投資を継続し、失われた30年から日本経済を再起動させるべきだ。
岸田政権が経済安全保障を打ち出したことは評価すべきである。コロナ禍やウクライナ侵攻を受けて、国内の供給能力こそが外交や国防に直接つながることを我々日本人は実感している。
国が成長し、賃金も上昇し、国民から見て国の成長シナリオが具体的に見えていれば、その安心感から投資をする人も自然に増えていくだろう。
政策の順番を誤るかどうかで、日本経済の未来は大きく変わってくると指摘したい。