日本維新の会との選挙協力を発表した国民民主党
政府の2022年度予算案に賛成した国民民主党について、筆者は4月18日、「やがて自民党に吸収されるだけ……国民民主党がまんまとハマった『提案型野党』という毒饅頭」という記事を書いた。記事の中で、玉木雄一郎代表の予算案賛成方針に反対の意思を示し、採決で体調不良を理由に欠席した前原誠司代表代行兼選対委員長の動向に注目した上で、以下のように指摘した。
「前原氏が今回の予算案をめぐる国民民主党の行動を機に、自らの『非自民性』を改めて強く自覚したのなら、もう一度『政権を担い得る野党勢力』をしっかりと構築するために、自分のなすべきことが見えてくるのではないか」
記事の公開直後の20日、新たな動きがあった。夏の参院選で国民民主党と日本維新の会が、前原氏の地元である京都、それと静岡の2選挙区で、それぞれの党が支援する候補を相互推薦することで合意したと発表したのだ。
どうも前原氏らの独断だったらしい。
前回の記事で指摘した玉木氏と前原氏の確執は、
前原氏はもともと、維新との連携に積極的な姿勢を示していた。自らを「非自民」と明確に意識しているはずの前原氏が、後述するように岸田政権の発足以降急速に野党色を強めている維新と手を結ぼうとするのは、その是非はともかく、あり得る行動なのだろう。実際、前原氏は同日の記者会見で、相互推薦の理由について「新たな政権交代を目指す受け皿を作るため」と発言している。
政策実現第一の玉木氏と、政権交代を掲げる前原氏の党内確執
問題は、前原氏のこうした考えが、政府の予算案に賛成するほど自民党にすり寄った玉木氏の考えと相容れるはずがない、ということだ。
18日の記事の繰り返しになるが、「たとえ自民党と連携してでも政策実現」の玉木氏と「非自民勢力を結集し、政権交代して政策を実現」の前原氏では、目指す政治の姿はもはや真逆なのだから。
これでは、有権者は国民民主党に、何を託して投票すれば良いのか分からない。この党は与党なのか、野党なのか。自民党政権を倒して政権を作るのか、自民党の補完勢力になるのか。そんな大事なことをあいまいにしたまま、有権者に目をつぶって投票せよ、と言うのだろうか。
連携する政党をその時々で都合良く入れ替えながら「時には与党、時には野党」のような振る舞いをこれ以上続けていたら、国民民主党はやがて、あらゆる政治勢力からの信頼を失い、しまいには自らの存在意義さえ失ってしまうのではないかと危惧している。