未来のために折り合いをつける

信じていたパートナーに浮気をされたら、心穏やかではいられませんよね。昔のことであってもなかなか忘れられるものではありません。ケンカや嫌なことがあるたびに思い出して、怒りを繰り返すのもつらいものです。

そうならないために、まず、これからの未来をどうしたいかを考えてみてください。今後もそのパートナーと人生をともに歩んでいきたいと願うなら、未来のために水に流すのもひとつです。「水に流す」という言葉通り、過ぎ去ったことをとがめずに、リセットするのがいいでしょう。

一方、うまく水に流せずに、怒りを悶々と抱えてしまっている人は、どうしたらいいのでしょうか。

気持ちを伝えたり、何かをしてもらうことで、気持ちがスッキリするということもあります。たとえば、次のようなことで気が晴れたという人もいます。

・責めるのではなく、気持ちを伝える
・「二度としない」という約束をしてもらう
・1週間家事をしてもらう
・ほしかったものを買ってもらう

このように、気持ちを伝えたり、何かをしてもらったりして、自分の中でどこかで折り合いをつけることも、今後のためには大切です。

伝えるときは、責めずに自分の気持ちを伝える

相手に気持ちを伝えることを選択した場合、つい責めるような言い方をしてしまっていませんか? 気持ちはわかりますが、言い方を間違えると、「だってしょうがないじゃないか」「そんな過ぎたことを責めるなよ」と、相手の言い訳や、逆ギレを引き起こしかねません。

戸田久実『「あとから怒りがわいてくる人」のための処方箋』(新星出版社)
戸田久実『「あとから怒りがわいてくる人」のための処方箋』(新星出版社)

気持ちを伝えるときには、

・「信じていたあなたに裏切られたことがとてもつらかったことをわかってほしい」
・「今後も一緒に過ごしていきたいし、これからも結婚生活を歩んでいきたいから、これはやめてほしい。私の気持ちをわかってほしい」

と自分の内側にある未消化な気持ちを正直に話して知ってもらい、今後はしないでほしいと伝えましょう。

未来を見据えて「こうしてほしい」という言い方をすることがポイントです。

そして、一度言ったら、それ以上は何度も言わないことも大切です。

もちろん、「浮気は許せない」と思っているのなら、別れるという選択もあるでしょう。もし何も言わないという選択をするのなら、そう決めた自分の判断に責任を持ちましょう。

つらい思いをしたからこそ、後悔しない未来を歩みたいですね。

まとめポイント
未来のために、本音にしたがい、折り合いをつけていきましょう
戸田 久実(とだ・くみ)
アドット・コミュニケーション代表

日本アンガーマネジメント協会理事。立教大学文学部卒業後、服部セイコー(現 セイコーホールディングス株式会社)にて営業、その後音楽業界企業にて社長秘書を経て2008年にアドット・コミュニケーションを設立。研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任する。著書に『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』など。