話しあう前に気持ちを書き出す

人は、一緒に仕事をしている人や友人などには理性が働き、「言葉を選ぶ」という配慮をします。しかし、身内にはなかなかそれができません。

伝えるときには、「今後、一緒に過ごしていくために大切なことだから」という視点を持ってのぞみましょう。

「いままで伝えてこなかった話を、身内にあらたまって伝えるのは苦手」という人は多いかもしれません。うまく言える自信がないときは、話しあう前に、わかってほしいことや自分の感情を書き出して、気持ちの整理をしておきましょう。感情がともなうと、とっさには言葉にしづらいものです。ひとりのときに書き出してみて、確認し、整理するのがおすすめです。

その当時を思い出すと、「悲しい、悔しい、困惑した、不安を感じた、寂しい……」など、いろいろな気持ちがわいてくるはずです。負の感情をそのままにせず、言葉にするクセをつけると、心の内側がスッキリしていきますよ。

まとめポイント
慣れないうちは気持ちを書き出して、整理する練習をしてみましょう

妊娠中や出産時の夫の言動が何年経っても許せません…

子どもが少し大きくなったいまも、つわりがひどいときに、夫から「つわりは病気じゃない」と言われたことや、出産に立ち会うと約束したのに飲み歩いていたことを、つい昨日の出来事のように思い出します。当時のことが頭に浮かんできて、いまでもことあるごとに夫に感情をぶつけてしまいます……。(専業主婦F恵・30代)
戸田久実『「あとから怒りがわいてくる人」のための処方箋』(新星出版社)より
イラスト=坂木浩子(ぽるか)
戸田久実『「あとから怒りがわいてくる人」のための処方箋』(新星出版社)より

相手にわかってもらえる伝え方に変える

出産は女性にとって命がけです。とくにはじめての出産は不安だらけ。

ですから、なおさら出産に関する怒りは長年色褪せず、当時の怒りを鮮明に記憶したままの人も少なくありません。

そんな中で、自分が抱えてきた気持ちを夫に理解してもらえず軽く流されてしまうと、さらに怒りが込み上げてくるものです。一度口に出してしまうと、いろいろなことが思い出され、怒りが雪だるまのように大きくなっていってしまうでしょう。

一方、夫側からすると、昔のことからいまのことまで、一度にたくさんの文句を言われるので、妻の真意がわかりません。

このようなズレが起こるため、本来わかってほしかったことが夫に伝わらず、「しつこいなぁ」と思われて終わってしまうという悪循環が起こるのです。