「私たちだけ…」発言に隠された本音

しかし、こうしたケースで注意が必要なのは、事象としては、「私たちだけリモートワークができなくてずるい」という発言になっていますが、メンバーたちが本当に言いたいことは、「だから、私たちもリモートワークがしたい」ということではないかもしれない、ということです。「リモートワークは経理財務部では難しい」という回答で一蹴すると平行線に終わってしまいます。メンバーが言わんとすることを確認するのが良いでしょう。

武藤久美子『リモートマネジメントの教科書』(クロスメディア・パブリッシング)
武藤久美子『リモートマネジメントの教科書』(クロスメディア・パブリッシング)

・経理財務職は、いつもオフィスにいるから別の部署の雑用を押しつけられている
・仕事の特性上、リモートワークができないのは仕方がないが、繁忙期ではないときは、メリハリをつけて部署全体で早く帰りたい
・紙の領収書は、紛失などのリスクもあるから、ペーパーレスや電子申請などの業務効率を図りたい。何度もマネジャーに言ったり、会社が毎年実施しているアンケート調査に書いたりしているのに、なんで動きがないのだろう

リモートワークを巡る環境変化を機に、こうした件に1つでも2つでも応えていけたら、メンバーにとっても組織にとっても良いと考えます。

武藤 久美子(ぶとう・くみこ)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブコンサルタント

2005年株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。組織・人事のコンサルタントとしてこれまで150社を担当。「個と組織を生かす」風土・仕組みづくりを手掛ける。働き方改革やリモートワークなどのコンサルティングにおいて、クライアントの業界の先進事例をつくりだしている。早稲田大学大学院修了(経営学)。社会保険労務士。