「後出しじゃんけん」は極力避ける

・リモートワーク活用に関する職場のルールをあらかじめ決める(ルールは職場のみんなで決められればベスト)。“後出しじゃんけん”は極力避ける
・職場のルールはメンバーが理不尽を感じない範囲で設定する(納得できる設定ができればベスト)
・職場のルールが守れないメンバーには、状況を確認したうえで、一定期間のリモートワークの権利を停止するなどの対策を取る(マネジャーとして、ルールを守らない状態を良しとしない)

協働者から不満のあがっているJさんのケースでは、オンラインミーティングのカメラのオン/オフのルールなど、メンバー本人や周囲がもやもやしがちな点を決めておくのが大事です。通信容量の件など特段の問題がなければ、全員がカメラオンの方がお互いの状況がよりわかって良いのではないかと思いますが、ルールは会社ごと、職場ごとに決めてください(「リモハラ」(リモートハラスメント)という言葉も、しばしば見聞きするようになりましたので、マネジャーが全員にカメラオンを一方的に強制するのは避けた方がいいでしょう)。

カメラのオン・オフに関するルールであれば、

・カメラオンが基本だが、ミーティングの冒頭で一言断ればオフでも問題ない
・社外関係者がいるときはカメラオン
・自分が発言するときはカメラオン、それ以外はカメラオフ
・毎日のオンライン朝礼はカメラオフで良いが、それ以外はカメラオン

などが例としてあります。

お悩み③「原則出社・出社制限で、部下が感じる不公平感

経理財務マネジャー「社員の経費の領収書清算や月次決算など業務上の都合で、うちのメンバーは原則出社としています。しかし、メンバーからは他の部署ではリモートワークの人が多いのでずるいと言われています」

営業マネジャー「当社は全事業所でオフィスへの出社を50%以下にするというル―ルがあります。しかし営業アシスタント職からすると、営業職とやり取りしたり、契約関連の書類を調べたりするのに出社している方が仕事は進めやすいそうです。出社したいと言っているメンバーに出社するなというのは、個人的にも違和感があります」

怒っている上司
写真=iStock.com/Andrii Bicher
※写真はイメージです

2つのケースはともに、出社とリモートワークを巡る議論です。基本的な考え方は次の通りです。

・出社とリモートワークの適切な割合は、会社が認めた範囲の中で、組織で考える
・週5日出社するにしても、リモートワークするにしても、人から強制されるよりもメンバー自身が選んだ結果であることが望ましい
・出社する人が増えることにより、リモートワークのメンバーが出社への圧力を感じなければOK

まず、経理財務のケースで言えば、マネジャーは、最初から「この部署、この職種ではリモートワークは無理」と決めつけずに、リモートワークを試してみることから始めてみましょう。職場単位であれば、困りごとがあったら、そのときにマネジャーの判断で中断したり見直したりすればいいだけです。