▼小宮さんからのアドバイス

経営コンサルタント 小宮一慶 こみや・かずよし●1957年、大阪生まれ。銀行勤務後、MBA取得。著書に『社長の教科書』『どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座』など多数。

ビジネスマンはアウトプットでしか評価されません。いくら自分では勉強をしているつもりでも、貧弱なアウトプットしかできなければ、収入は大きくは増えませんし、いつまでたっても市場価値は高まりません。ビジネスの世界に努力賞はないのです。ですからインプットをするときも、常にアウトプットを意識して行うことが大切です。

もうひとつ、インプットの量が多ければ多いほどいいアウトプットができるわけではない点にも注意が必要です。いくらたくさんの知識や情報を詰め込んだところで、頭のなかで関連付けや整理ができていなければ、肝心なときに肝心な知識を取り出すことはできません。

ストックしてあるインプットのクオリティが低く、たいして価値のない知識や情報しか出てこないようなケースもあります。その場合は読むべき本の見直しをおすすめします。多読や速読にも注意が必要です。なぜなら、価値あるアウトプットにつながるような知識や知恵は、多読や速読だけではインプットが難しいからです。月に100冊の本を読むというのは、言葉を換えれば100冊も読める本しか読んでいないということです。

アウトプットを前提に本を読むなら、まずはその分野で価値の定まったものを選ぶこと。そのうえで、著者の論理的思考に食らいつくような読み方をすべきです。そのような読み方をすると、読める本の数は自ずと少なくなります。しかし、自分の論理的思考力も情報の質も確実に高まるので、たとえ一冊しか読めなくても、何十冊もの本を読んだ以上のアウトプットができるようになるのです。