専業主婦の生活になじめず…
その後、結婚を機に家庭へ入ったものの、専業主婦の生活になじめず暇を持て余していた。そんなときに連絡をもらったのが、パソナで水上さんの仕事を斡旋してくれていた営業担当だ。彼はパソナのグループ会社にいて、人手が足りないので手伝ってほしいと声をかけてくれた。
3カ月の就業が終わり、送別会の席でのこと。当時の社長に「この後、何かすることあるの?」と聞かれ、水上さんは「なんにも決まっていません。ただできたら、営業をやってみたくて……」と答えた。すると「それならうちで働きなよ!」とその場で入社が決まったのだ。
「私はパソナと出会って社会へ出ることができたので、人生を救ってもらったという恩義を感じていました。社内には研修中のスタッフがいて、毎日一生懸命に学んでいるのですが、その姿が数年前の自分と重なって。未来ある若者たちが社会に出るために努力している姿を見ていて、この子たちのために何かできればという気持ちがすごく強くなっていたときでした」
飛び込み営業からスタート
入社後は、希望通り新卒・第二新卒の就職支援を行うことに。水上さんは雇用先を見つける法人営業を担当した。銀座界隈を任され、「一丁目から八丁目まで全部飛び込んでこい」と上司にいわれ、飛び込み営業からスタート。
「私は飛び込み営業が好きなんです。片思いの人にどうにか振り向いてもらおうとしているときの気持ちと少し似ていて、楽しさもあるというか(笑)」
最初は人事担当者を訪ねても、「今ちょっと忙しいから」となかなか会ってもらえない。しかし、そこでめげずに翌日も訪ねては、資料を置いてくる。何度も通い続けるうちに、先方も話を聞いてみようかと心を動かしてくれ、「では、御社から採用します」といわれたときは本当に嬉しかった。
「若者が活躍できる場を一つでも二つでも増やすことにやりがいを感じました。自分がここでひるんで飛び込まなかったら、新しい雇用が生まれない――。一人でも多くの人たちを社会へ送り出すためには扉を叩いていかなければいけないと、使命感に燃えていましたね」
物怖じせず飛び込む熱意で営業成績はみるみる上がっていった。