※本稿は、岡田豊『自考』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
フェイク情報を見極める目が求められる時代
インターネット上などにフェイク情報などがあふれ、何が事実か真実かを見極めることが難しい時代に入りました。本来のジャーナリズム機能をきちんと果たしているのかといった疑問などから、大手メディアへの信頼も揺らいでいます。
正確な情報と的確な見識は、私たちにとって、水や空気と同じくらい大切な存在になったと考えています。情報を受け身で鵜呑のみにしてしまうのではなく、私たち市民ら情報の「受け手」が能動的に自己責任で見極める。この意識転換が必要な時代になったのではないでしょうか。
間違った情報やウソの情報で、判断や選択を誤ってはなりません。インターネットの普及で、あらゆる情報が世界中であふれるようになりました。フェイクと言われるニセの情報やニセの映像も一部で平然と流されています。事実でないことを事実と認識してしまうケースがどのくらいあるのか。本当の事実や情報を簡単には見極められない時代になりました。
フェイクニュースの方がSNSでシェアされる
共和党のトランプ氏が勝利した2016年のアメリカ大統領選挙の期間中、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアに数多くのフェイク情報が流されました。「ローマ法王がトランプ氏を支持した」というフェイク情報は10万人がシェアしたとされています。
ニューヨーク・タイムズによれば、2016年のアメリカ大統領選の際、ロシア政府とつながりがあるロシアの会社が、数百に及ぶ架空のアカウントをフェイスブックに開設し、民主党のヒラリー・クリントン氏に不利な政治広告などを流していたといいます。いわゆる「ロシア疑惑」に関連した話です。
ニュースサイト「バズフィード」は選挙戦終盤のトップ20のニュースのうち、フェイスブックにおいて、シェアまたは「いいね」を押したり、コメントを付けた回数について、主要メディアとフェイクニュースを比較しました。主要メディアが約740万回。これに対して、フェイクニュースは約870万回と大きく上回ったそうです。
フェイクニュースやフェイク情報を事実だと信じ込んで選挙と向き合い、投票した国民が大勢いる疑いがあったといえます。フェイクが選挙結果を左右した可能性が指摘されています。フェイク情報が選挙において有権者の投票行動に影響を与えた例が、日本の地方でもあったという指摘があります。
フェイク情報の真偽を確認しようとするファクトチェックの動きが広がりつつありますが、今のところ、大きな効果を発揮できておらず、限界があります。