金地金の売買にかかる手数料には2種類がある。まずは買い値と売り値の差額、つまり為替でいうところのスプレッド。表のように、これは現在のところ1グラム当たり50~70円程度で、買い値に対して1.2~1.7%程度。

もう一つが、購入時・売却時に別途かかる手数料。これは、各社とも500グラムと1キログラムは無料、500グラム未満では表のように各社手数料が異なる。このため、金地金を買うなら、できれば500グラムか1キログラムのものがいい。500グラム未満の場合、小さなものほど手数料が割高になってしまう。そこで、500グラム未満のものを買うときは、小分けして買わずに、予算の中でなるべく大きなものを買うのがポイントだ。

なお、田中貴金属工業はこの4月に手数料を値上げしたばかり。他社も追随する可能性があるので、注意しておきたい。

また、金の売却益は譲渡所得となるが、この所得は50万円まで税金がかからない。50万円を超えると超えた額に課税されるが、保有期間が5年超になると、課税対象額を2分の1にできるという優遇がある。そこで、特に多額の投資をする人は、保有期間5年超を目指したほうが有利になる。

高騰を続ける金価格のゆくえはわからない。金価格が購入時より下がれば、消費税のアップ分など消し飛んでしまう可能性はもちろんある。ただ、国内金価格は金の国際価格×為替レートで決まる。すなわち、円安はそのまま国内金価格の上昇要因になるわけだ。その意味で、金投資は円安によるインフレヘッジにも役立つといっていい。

もし消費税アップの日の前日に買い、当日に売ることができれば、消費税の差額をそのままゲットできることもあるかもしれない。だが、それよりも相場をよくウオッチして下がったところで買っておき、長期保有で消費税アップを待つ方法をおすすめしたい。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=坂本君子 撮影=坂本道浩)