教育データ利活用ロードマップが炎上
年明け1月7日にデジタル庁が文部科学省・経済産業省・総務省と策定した教育データ利活用ロードマップを公表した。これをうけNHKが「政府 学習履歴など個人の教育データ デジタル化して一元化へ」(NHKニュース・2022年1月7日 15時51分)という報道をはじめ、「政府による学習履歴の一元管理」というロードマップの実際の内容とは真逆のイメージが拡散されSNS等で多くの反発を招き、いまだ炎上中である。
「一元化」ではなくデータの利活用を技術的に促す「標準化」
端的にいえばNHK報道の見出しは誤報に近い。
読者をあえて不安にさせ、炎上させようとする「煽り」の意図すら感じさせる。
NHKが“一元化”と説明したのはデータの「標準化」のことである。
ここでいう「標準化」とは異なる学校・自治体間でもデータの記載方法や必要な場合にデータ連携ができるように「データの入力方式や作成方式を規格化・共通化していくこと」を意味する。
たとえば、都道府県や市区町村には総務省により都道府県コード・自治体コードをJIS規格化(国家規格化)するという標準化が行われており、東京都は13001、千代田区は13101など、半角数字で表現するルールが整備されている。この入力方式さえ知っておけば、たとえば自治体の収集した調査データを研究者が分析する時などの利活用がしやすくなる。
このほか学校名を○○高等学校と入力し、高校と省略しない、齋藤・齊藤などのような表記を斎藤などの標準的な方式で入力するなどのルールを統一化することにより、現在はその入力方式の違いのために各自治体や事業者・研究者等の事務煩雑化を引き起こしやすい方式を共通化し、データ照合・連携などにつなげやすいルール整備が「標準化」である。
ほかにも現在文科省が作成中の学習指導要領コードで「標準化」して同じフォーマットで教員タブレット等で記録しておくと、転校の際に各学校で児童生徒が学んだ学習内容について、保護者の同意を得て相手先自治体に情報共有することが可能になり、教員や保護者の書類作成の時短や郵送代節約にもなり、履修内容が転校先の教員に共有され、学び残しがなくなりやすくなる、というようなメリットがある。