就活サイトが大学フィルターの利用を仕掛けている
また、学歴フィルターを宣伝文句に使い、煽っているのはインターンシップや就活サイトを運営するプラットフォーマーだという。前出の飲食チェーンの人事担当者は「プラットフォーマーが大学フィルターの利用を間違いなく仕掛けている。就活エージェントからも『早慶の学生でいい人材がいますが、どうですか』とアプローチしてくるし、煽っているのは確実だ。もちろん企業側のニーズもあるから売り込んでくるのだが、しかし、それだけで企業が満足しているわけではない」と語る。
では就活サイトにフィルター以外の何を望むのか。
「企業は自分の会社に合った人材はどういう人なのかをわかっているが、ほしい人材を探し出すには就活マーケットのプロではないので就活サイトに頼るしかない。できれば企業のニーズに合った学生層を提案するとか、目配りのきいたサービスのレベルを上げてほしい。就活サイトからすればそれは企業人事の仕事だろうと言うかもしれないが、採用で手が回らない部分をサポートするのが就活サイトの本質的な役割だと思う。今回の『大東亜以下』の問題で明らかになったのは、単純に履歴書レベルでザクッと切っているだけの話。就活サイトのサービスレベルの実態が出てしまったことが問題だ」
学歴フィルターは企業のニーズがあるから就活サイトもそうしたサービスを提供する。しかし、就活サイトの競合が激しくなる中で、そうしたサービスだけでは徐々に魅力を感じなくなる企業も増えるだろう。学歴は個人の能力の一つでしかない。それ以外の能力や魅力を可視化し、企業のニーズに合う人材のマッチング力を高めていく努力が、就活サイト側にも求められているのではないだろうか。
1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。