子どもの学歴は親の所得で決まるのか。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは「所得は1つの要因にすぎない。むしろ親の思考力の差が子どもの将来に与える影響は大きく、それは10年以上にわたる家庭での日常会話の中で引き継がれていくものだ」という――。
リビングルームでリラックスした家族
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子どもの学歴は親のお金次第なのか

親がお金を持っていれば、子に教育費(塾や予備校、私立中高一貫校など)をかけられる。だから子が高学歴になり、高所得者になる。

一方、親が貧しければ子の教育費を出してやることができず、成績も悪く、低学歴になる。結果として低所得となり、格差が固定する。

このような論調はあちこちで目にします。

むろん、そういう側面はあると思います。

都市部では塾や予備校、私立の中高一貫校が豊富で充実していますし、たとえば「東大受験が当たり前」という空気の学校と、「高校を出たら就職するのが当たり前」という空気の学校のどちらに通うかといった環境も大きな影響を与えるでしょう。

しかし、親が高所得なら子は高学歴、親が低所得なら子は低学歴、結局「お金がモノを言うのだ」という考え方はちょっと短絡的過ぎると思います。

実際、地方に行けば塾も予備校も少なく、公立中学から公立高校に進学し、予備校ナシで難関大に合格する人も数多くいます。

親の資金力は要因の1つにすぎない

私が知る限り、高学歴・高所得親の子はほとんど高学歴なのは確かに事実だなあと思う反面、親が高卒・低所得でも子は高学歴になるケースもあるので、親がお金を持っているかどうかは要因の1つに過ぎないと感じています。

つまり相関関係はあっても必ずしも因果関係とは限らない。

そこで、親の所得や学歴が普通でも高学歴になった人たちの成育歴を取材する機会がありましたので、その内容と私自身の経験、そして私が見てきた高学歴同級生の家庭のありようを思い出しながら、私なりに考察してみました。