※本稿は、シム・ファルギョン『3人の娘をハーバードに合格させた 子どもが自ら学びだす育て方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
罰として「1年はマクドナルドに行かない」
長女ヘミンがあるときマクドナルドに行きたいがためにささいな嘘をついたことがあった。夫はヘミンに「何があっても嘘をつくのはよくないよ」と言い聞かせ、詳しく説明した後、「嘘をついた罰として、これから1年はマクドナルドに行かない」と宣言した。私は内心、1年は長すぎないかと思ったけれど、止めることはせずに実行に移した。
韓国スーパーと韓国レストランが一軒ずつしかない町で、1年間もマクドナルドに行けないとは。ヘミンが感じた絶望は、どれほど大きかったことだろうか。おもちゃ欲しさについた嘘の代償としては厳しすぎると思ったかもしれない。だが、嘘をつけば必ず罰が伴うという事実は、頭に焼きついたことだろう。
親の言葉は一貫性が重要
それからちょうど1年経った日、私たち家族はマクドナルドに行った。そのときの子どもたちの喜ぶ姿といったら、今も目に浮かぶ。
1年の我慢は、子どもたちばかりか、私たち夫婦にとっても大変なことだった。貧しい留学生一家の私たちにとってマクドナルドは、外食しながら子どもたちを遊ばせ、気分転換できる唯一の場所だったからだ。それでも、親の言葉には一貫性が重要だ。
いったん決めたことを、状況が変わったからと親自身がやめたり変更したりしたら、一番混乱するのはそれを見ている子どもたちだからだ。
1年間マクドナルドに行かないと言ったなら、何があっても行ってはいけない。韓国から親が訪ねてきたとき、子どもたちを連れてマクドナルドに行こうと言われたが、それでも行かなかった。外で用事があって遅くなり、お腹が空いていても、家に帰ってからご飯を食べた。知り合いの家族と食事をして、マクドナルドでデザートを食べようと誘われても、丁重にお断りをして先に失礼するか、家に帰ってデザートを食べるよう提案した。それがどれほど面倒だったことか。子どもたちだけでなく、親も決まりを守るのは大変だった。
ここでもう1つ大事なのは、夫婦のうち片方が内緒で約束を破ってもいけないということだ。時折、子どもが父親か母親のどちらか一方に、そっと助けを求めることもある。それでも親は団結して、決まりを守り通さねばならない。こうした一貫性を守ることで、子どもを混乱させることなく、他のルールも守らせるカギになるのだ。