東大生の多くは親から「勉強しろ」と言われたことがない

東大に進学した学生のほとんどは、親から「勉強しろ」などとは一度も言われたことがないそうです。

高学歴になる子の家庭では、子が自分の頭で考え自分で決断する習慣が養われます。

「自分で決めていい」ならば、自ら情報を集め、本人の価値観で判断しようとするからです。

親は子の話に真摯しんしに耳を傾け、子の意見を肯定します。他の人と比較したりテストの点数で子を評価したりもしない。「お前にはムリ、やめておけ」などとは言わない。などなど、子の自己肯定感を下げるような言動をしない点も特徴です。

逆に親が子に厳しくして子の意志を抑え込んだり、親が先回りしてレールを敷いたりすると、子は自分で決める必要がないので自分で考えることもしなくなり、親に言われたとおりにやればいいとなります。こうした家庭環境が「指示待ち人材」を量産するのかもしれません。

思考力の格差が学歴格差と所得格差を生む

こうした「思考力の格差」つまり「思考格差」が結果として学歴格差や所得格差を生むわけで、親の所得は「本質的」な要因ではないというのが私の考えです。

親の所得や学歴を問わず、親が低学歴でも低所得でもあきらめる必要はなく、子の意志を尊重すること、親が子にかける言葉を適切に選ぶこと、親が精神的に安定していること、ガミガミ言わず穏やかな家庭環境を維持する、親が読書や勉強している姿を見せる、論理的な会話を心掛ける、子が自分で考え自分で判断するよう促す、挑戦を称える、失敗を許容する、好きなことに没頭できるようサポートするなどで、日常的に思考する習慣ができ、高学歴になる(ないしは自己責任で自分の進路や生き方を選択できる)ような育て方は可能なのです。

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。