インターンシップ選考で学歴フィルターを使っている
人手不足業種や中小企業は学歴フィルターを使って絞り込むほどの余裕はなさそうだ。やはり大企業が使っているのか。大手医療機器メーカーの人事部長は毎年8月から実施されるインターンシップ選考で学歴フィルターを使っていると率直に認める。その上でこう語る。
「インターンシップ参加者の選考では偏差値上位校を優先的に選んでいるのは間違いない。ただし、インターンシップで上位校の学生を囲いこんで採用までフォローするには労力がかかる。それができるのは資力・体力のある業界でもトップクラスの優良企業だ。偏差値上位校の学生はライバルの大手企業に流れるし、学生のフォローには苦労している」
同社は業種の特殊性もあって東工大など技術系の大学や国立大の薬学部などの学生を優先的に選考しているという。
ある大手金融ではインターンの9割がGMARCH以上
では文系学生も多い金融機関はどうなのか。金融業の人事担当者は「エントリーした学生と面談し、参加の可否を決めているが、事前に対象大学を旧帝大クラスと早慶、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)クラスで約7割、その他の大学を3割に絞り込んだうえで面談を実施している。その結果、最終的な参加者はGMARCHクラス以上が9割ぐらいを占めている」と語る。
学歴フィルターを使っている理由については「採用選考の前段階なので本当はたくさんの学生にインターンシップに参加してほしいのだが、担当スタッフの選任など各職場との調整で労力や手間もかかるのでどうしても受け入れ人数に限りがある。そうなると当社の採用実績校や優秀な学生が多い旧帝大などの国立大学や早慶の学生などに参加してもらいたいという気持ちになる。そして就業体験を通じてさらにじっくり観察することもできる」と語る。
同社はインターンシップに参加した学生を観察し、その中から内々定者を出すという事実上の採用選考を行っている。一方、エントリーシート提出による一般選考枠でもフィルターを使っている。具体的には「エントリーシートのデータから旧帝大と早慶、MARCH、関関同立、日東駒専レベルに分類し、体育会系所属の有無、性格テストなどを使った属性を入力して、当社に合う学生を選び出すというデータマッチングを行っている」と言う。