1Dayインターン後、OB・OGが優秀な学生に個別に接触

また、1Dayインターシップでもフィルターを使って集めている企業もある。IT企業の人事担当者は「インターンシップといっても企業説明会の延長のようなもの。自社の紹介や業界での強みを紹介した後、動員した社員との交流会やグループワークなどを行った。エントリーシートの大学名を参考に東大、東工大など国立大学や早慶、MARCHクラスの私立の理系や文系の学生を選んで実施した」と語る。

しかも動員した社員は参加した大学生のOB・OGをあえて選び、OB・OGから学生の発言や行動など人物の特徴を聞いて順位付けし、後日、OB・OGが学生に個別に接触し、非オープンのインターンシップへの参加を呼びかけているという。

偏差値上位校は「学ぶ能力が高い」人がいる確率が高い

そもそもなぜインターンシップに学歴フィルターを使って選別しているのか。インターンシップ=就業体験であれば幅広い学生を参加させ、それこそ仕事ぶりや性格を観察するなど、自社に合致した学生をじっくりと見極めることができるのではないか。そう聞くと、フィルターを使うのは2つの理由があるという。

1つは事実上の選考という理由だ。金融業の人事担当者はこう語る。

「インターンシップを選考プロセスの一環として実施している。旧帝大や早慶など偏差値の高い大学にいるということは少なくとも偏差値をクリアするための勉強をしているという経験値がある。社会に入って新しいことをやるには当然学びが必要になり、学び方を知っている人ほど成長しやすい。そういう意味で偏差値上位校に通っている人は学ぶ能力が高い人がいる確率が高いという確率論で使っている。もちろん学び方を知っているのは能力の一つにすぎない。要するに転職の面接で『どちらの企業に勤めていましたか』と聞くのと同じ経験値の一つで、入口の目安でしかない。実際の採用では学び方以外の要素も含めて判断している」

インターンシップの参加希望者は年々増えている。しかも採用選考の一環となると、どうしても学歴優位になりやすいということだ。

ついていけない学生がいると運営に支障が出る

もう1つの理由はインターンシッププログラムの事情がある。IT企業の人事担当者は「5日~1週間程度のプログラムの開発や社内講師の選定などそれなりにパワーをかけてつくっている。企業研修のように優秀な人材に高度の研修を受けてもらいたいと思うのと一緒だ。たとえば研修についてこれないような人を参加させると運営自体に支障を来すことになりかねない。上位校に絞ったほうが適応できる人が多いというのは自然の流れではないか」と語る。

学歴フィルターはあくまで採用活動の入口の目安でしかないが、当然入口にもたどりつけない学生が多数存在する。とはいっても大企業以外の中堅・中小企業が多数存在するのも確かだ。