最終選考での経営者の不適切質問が後を絶たない

ところで採用担当者が注意し、一般社員に対する面接指導を徹底していてもフライングしてしまいがちなのが経営者だという。

「採用担当者がよく理解していても、トラブルになることが多いのは最終選考での経営者の不適切質問だ。経営者は面接がアマチュアであることのほうが多い一方、下の社員から指摘しづらい。『お父さんは何をやっている人なの』『好きな本はどんな本?』と、直接聞いてくる。ブラック企業とまでは言えないが、オーナー企業の経営者では起こりがちだ」(髙橋副社長)

企業の中には中途採用で要職につけるようなケースの場合に「身元調査」を命じたり、面接で健康状態や精神状態に不安定な面が見られる学生に健康診断をさせたがる経営者も結構いるという。

こうした経営者に出会ったら、コンプライアンスやハラスメントに対してルーズな会社だと思ったほうがよいかもしれない。

溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ)
人事ジャーナリスト

1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。