30代半ばになるけれど、転職の面接で語れるような華々しい実績がない。そんなときは自分の何をPRすればいいのでしょうか。35歳以上の転職に詳しい転職コンサルタントの黒田真行さんは「企業は30歳以上の人には、20代には求めない能力を厳しく見る。それは課題解決能力です。解決した経験がなければ、解決に向けて挑戦した経験を語ればいい」といいます――。
木製の机の上のパズルを解きます
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◆今回のお悩み
現在の会社に勤務して10年以上になりますが、昇格したこともプロジェクトリーダーを務めたこともなく、今後のキャリアに不安を感じています。自分を成長させるためにも、もう少し活躍の余地がある会社へ転職したいと思うようになりました。
ただ、はっきりとした成果や実績を出した経験がないため、自分には面接でPRできることがないのでは……と悩んでいます。企画提案をしたことは何度もありますが、いずれも実現には至りませんでした。実績がない場合、やはり転職はあきらめたほうがいいのでしょうか。(35歳・不動産会社勤務)

「課題発見力」だけでは評価されない

転職市場では、年齢帯によって求められる能力が変わってきます。20代なら特に目立った実績がなくても、積極性や意欲などが買われて採用に結びつくことは少なくありません。しかし、そうしたケースは30歳を過ぎたあたりから徐々に減少し、代わりにある能力が問われるようになっていきます。

その能力とは「課題解決力」。仕事上の課題を「発見」する力だけでなく、それを「解決」する力まで求められるようになるのです。

30代以降の人は20代の人に比べれば実務経験が豊富ですから、日々の業務の中で「ここに問題があるのではないか?」「ここは改善したほうがいいな」と気づくことも多いでしょう。つまり、課題“発見”力はある程度鍛えられている可能性が高くなります。しかし、課題“解決”力は本人の意識や行動力が重要になるため、どうしても個人差が大きくなります。30代以降の人材を採用する企業側は課題を解決してくれる力に期待して人選をする傾向がありますから、面接でも「この人は前職でどんな課題を解決してきたのか」を見極めようとします。

火事で例えると、20代なら「火事を発見できる」だけでも採用される可能性はあります。でも、30代以降はそれだけではダメで、火事を発見した後「消火できる」力までが求められるのです。

「評論家予備軍」は要らない

30代以降の転職面接では「発見も消火もできる」、あるいは「消火した経験がある」としっかりアピールできるかどうかが合格の決め手になってくると言えるでしょう。

従って面接では、業務上の課題や改善点を発見した経験を伝えるだけでは意味がありません。もし「以前の業務はここが課題だった」「商品をこう改善すべきだと思っていた」というように課題感だけを語ったとしたら、極端に言うと「文句ばかり言う人だ」という印象を与えてしまいかねません。

採用側が求めているのは評論家予備軍ではなく、その課題を解決して事業を前に進めてくれる人です。その意味でも、面接ではぜひ解決経験をPRするよう意識してほしいと思います。