時代の荒波をくぐり抜けた小説や文学作品が好きです。外国文学は、ドストエフスキー、チェーホフなど、日本なら藤沢周平です。藤沢作品の醍醐味は、庶民の生活を描きつつ、人生の機微に触れた話が多い点にあります。

この作品では、主人公の桑山又左衛門が次第に出世し、首席家老にまで上りつめる様が軸になっています。ここで描かれる武家社会は、現代の企業社会と似ている点が非常に多い。

ポストが上がるたびにグッと世界が広がり、付き合う相手も違ってきます。外国企業のCEOと会う機会もありますが、知性や教養を持った哲学者のような人までいます。彼らとの会話には、文学作品を読んでいてよかったと思ったりします。