入社後から書き始めたノート

入社初日の年8月1日にいざ店内に入ってみると、店舗運営にも若い子のファッションにも素人の私ですら、品揃えや店舗の雰囲気が「パッとしないな」と感じる有様でした。

藤﨑忍『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社)
藤﨑忍『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社)

109内という立地の良さで売上はそこそこありましたが、まだまだ改良の余地があると感じたのです。

そこで入店初日から、即、気になるところに手を入れていきました。

入社にあたって、まず、メモがわりになんでも書き込んでおこうとノートを一冊用意しました。ページを開いて記入したのは、自分がやるべきこと。このノートは今も私の手元にあります。見返してみると、初めての仕事に対する決意の強さを感じますね。

日付は8月2日。1日に入社して、自分なりにその日に感じたことや問題点を洗い出して、まとめたのだと思います。

ページを開くと以下のように書いてあります。

・店舗の整理
・清掃ルール
・在庫の整理
・商品センターとの連携
・棚等の有効活用

日本人女性はノートにメモを取る
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

まずは、店舗の掃除から

これが一番目に手を付けようと思って洗い出した問題点です。このうち、まずは店内やバックヤードを清掃・整理するところから始めました。整理されていない店で在庫管理なんてできませんよね。

私が入った当初、店内は納品時の段ボールがそのまま売り場の床に置かれていたりして、汚くて整理されていない、居心地の悪い空間でした。109に入っているショップのなかでも、指折りの汚さだと思いました。売り物や棚に埃がかぶっている店では、どんなに頑張って素敵な商品を置いたとしても、誰でも買う気が失せてしまうでしょう。

そこでまずは店内を徹底的にきれいに掃除して、ダンボールなどは処分しました。どうしても移せないものについては生地をかけてお客様の目に触れないようにしました。

試着室のカーテンが、薄汚れた感じで暗い色味だったのが気になり、自分で華やかな色合いの布を買ってきてミシンで縫って掛け替えました。カーテン一枚替えただけなのに、店内が明るくなって雰囲気がガラリと変わり、商品の見栄えも良くなりました。店内の印象を手軽に変えたいのであれば、費用対効果が大きいカーテンの掛け替えをおすすめします。

そのほか、ノートには「POPは全て手書きにする」とあります。入社当時のPOPや値札はパソコンで打ち出した活字でした。いろいろ試行錯誤はしていましたが、まだまだ店内が暗めでイマイチな雰囲気だったので、スマートな印象を与える活字のPOPと全然合っていなかったのです。

さらに、活字だと内容が伝わりにくいという問題もありました。そこで思い切って、店内のPOP類はすべて私が手書きしてパウチしたものに付け替えました。手書きだと活字に比べて視線が素通りしない、よりお客様に内容が伝わりやすいものにもなったと思います。