「頭が真っ白」になる人の隠れた才能

頭が真っ白になってしまう人は、「人の苦しみを請け負う」ということをしている、つまり「人の気持ちが良くわかる」という共感力が高いことになります。子供の頃にアニメとかを見ていて「人の気持ちがわかる超能力があったらいいな?」と思ったことがありますが「共感力」がそれになります。人の気持ちが勝手に伝わってきて頭が真っ白になってしまう。「子供の頃に思っていたのと全然違うじゃない!」とツッコミを入れたくなります。

共感力と言われると、人の気持ちが手に取るようにわかって、傷ついた人の心を癒してあげられる、というイメージでしょう。

それなのに、共感力が高いと、相手の苦しみを請け負ってしまう。「こんな惨めな状態になるんだったら、人の気持ちなんてわからないほうがいい!」と思ってしまうわけです。

そして、実際に「頭が真っ白になる」人は、周りの人から「この人は、ほかの人の気持ちがわからない」と思われていたりするんです。

「え? あんなに人の苦しみを請け負ってパニックになってしまうのに?」と思いますよね。

そうなんです。本当だったら「頭が真っ白になる」というのは「才能」なんですけど、本人がその才能を自覚していない。

無自覚なままでいるとマイナスにしかならない

才能を自覚していないと「頭が真っ白になる」という時に「これは自分の才能で他の人の感情を請け負っているから」と認識することができない。

才能を自覚していないと「他人の苦しみ」を自分のものにしてしまうから「頭が真っ白になる!」になってしまう。

この時に「自分だけが苦しんでいる」と一人でもがいてしまい、「この人は自分の苦しみだけに注目して相手の気持ちに寄り添うことができないんだ」と周りの人に思われてしまいます。

頭が真っ白になってしまう人は、ぱっと見た限り「あ、人の気持ちをわかってくれるような優しい人だな」という印象を持たれるから期待されるわけです。

けれども、人から請け負った苦しみを自分で処理できずに「苦しくて他の人のことが考えられない!」となるから、「人の気持ちがわからない自分勝手な人」と見られてがっかりされてしまう。実際は人の気持ちがちゃんと伝わってきているから「苦しい!」となっているだけで、共感力は高いのです。ただ、自分がちゃんとその才能に気がついていないだけなんです。

「共感力」の才能は今すぐ自覚すべき

ですから「頭が真っ白になる」というのは共感力という才能なんだ、という自覚をちゃんと持つだけでいいんです。

実際に頭が真っ白になった時に「あ! これは誰かから伝わってくる苦しみだな」とわかって、その苦しみを自分のものにしなければ頭が真っ白になることはなくなります。

そして頭が真っ白になった時に苦しみに注意を向けて「これは誰からのもの?」と考えて、「あなたはこんなに苦しんでいるんですね」と苦しみを抱いている本人にフィードバックができれば「この人、すごい共感力!」とびっくりされるようになるでしょう。

大嶋 信頼(おおしま・のぶより)
心理カウンセラー

アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら、東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長、株式会社アイエフエフ代表取締役を経て、現在、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。短期療法のFAP(Free from Anxiety Program)療法を開発し多くの症例を治療している。