ルーツは50年前にさかのぼる

「天然水ゼリーのルーツは、1970年代、上越新幹線のトンネル工事までさかのぼります」と話すのは、同ウォータービジネスカンパニー・商品部の飯田早夜さやさん。

鉄道ファンの方々は、既にピンと来ているかもしれません。1971年、上毛高原駅(群馬県)から越後湯沢駅(新潟県)に及ぶ、長さ22.2kmもの距離を掘ることになった、「大清水(だいしみず)トンネル」。

アキュアの自販機(写真提供=JR東日本クロスステーション)
アキュアの自販機(写真提供=JR東日本クロスステーション)

ですが掘り始めて7年後の78年、なんと毎分30トン以上もの出水が湧出し、トンネル工事の大きな妨げとなりました。これを当時、作業に当たった人たちがなんとか克服したのですが、このとき、次世代につながる大きな“発見”があったのです。

それが、湧出した天然水が思いのほか、おいしかったこと。

その後、障害になった湧水は融雪作業で使われていましたが、1984年に「おいしい」との評判を聞きつけた旧国鉄職員の提案によって開発、発売されたのが、ミネラルウォーターの先駆けとも言える「大清水(おおしみず)ブランド」でした。

ちなみに「大清水(おおしみず)」の名は、先のトンネル名のほか、「おいしい水」を文字ってネーミングした、との逸話もあるとのこと。

その後07年、リニューアルによって谷川連峰と天然水の透明で清らかなイメージを再現したのが、先の「天然水ゼリー」開発のきっかけとなったミネラルウォーター、「フロムアクア」だったのです。

自販機の天然水が抱えた“ある課題”

そんなフロムアクアですが、実はある「課題」を抱えていました。

それが、購買者や売れる時間帯に、偏りがあること。自販機で「フロムアクア」を購入するユーザーの多くが40、50代男性で、時間帯は“朝”の通勤時間帯がメイン。午後以降や10、20代の若者、そして女性には、いまひとつ売れ悩んでいました。

「自販機で売られるフロムアクアのペットボトルは、530mlと280mlの2タイプ。女性は530mlを1日で飲みきれないのではないかと考え、18年から少量サイズ(280ml)でも、女性が好むフレーバーウォータータイプを発売、展開し始めました」(飯田さん)。