※本稿は、安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)の一部を再編集したものです。
高齢者が怒りっぽくなる個人的な理由①“執着”
まずは「執着」です。執着の強い人は怒りっぽくなります。特に過去の成功体験、愛着への執着は高齢者を怒りっぽくさせます。
執着を国語辞書で引くとこうあります。
“一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないこと。”(デジタル大辞泉)
もともとは仏教からきている言葉とも言われていて、修行の障害になる悪い心の動きを指しています。
いろいろなことに執着がある人は、大切にしていることが多い人です。
それだけ大切にしていることが多ければ、その大切なものが脅威にあう機会も必然的に多くなります。となれば、怒りを使う機会も増えます。他の人からすればどうでもいいように思えることでも、本人にとってはなんとしてもしがみついていたい大切なものなのです。
それが攻撃されるようなことがあったり、否定されるようなことがあれば、怒りをもって全力で闘おうとするでしょう。
「実家の片づけ問題」の原因は“執着”にあり
年老いた両親の住む家は放っておけば、ゴミ屋敷とまではいかなくても、いつの間にか物で溢れます。それを片付けようとして、親と大喧嘩になるのが、よくある「実家の片付け問題」です。「実家の片付けほど大変なものはない」と言う人もいうくらいの問題です。
実家の片付けの時に喧嘩の種になるセリフが、「どうして勝手に捨てるの⁉」です。片付けに行ったこちらからすれば、明らかにゴミと思えるようなものでも、親にとってはとても愛着のあるものだったりします。それはすでに使えなくなっているし、実用的な価値が見つけられなくても自分が楽しかった頃、苦しかった頃の人生をともに経験をしたということで愛着を感じています。それを捨てることには非常に大きな抵抗を感じるのです。