秘書なし、ITヘルプデスクなしの日々
【白河】お二人ともずっと大企業、国際機関で活躍されてきたのに、起業という思い切った決断をして、新たなミッションに進まれる。今企業で働く50代の女性がライフシフトに迷っています。ロールモデルともなる新しい挑戦だと思います。
【キャシー】私たちは3人とも56歳。この年齢になると「このまま最後まで同じ会社で勤めていければ十分」と思うのが普通かもしれませんが、そこはやはり親の姿を見てきたからでしょうね。この年で初めてベンチャーの世界に飛び込んで、今は毎日が新鮮です。秘書なし、ITヘルプデスクなしの環境にまごつくこともありますが(笑)、若い起業家と接するのは楽しい。私たちの挑戦によって、女性や同年代の皆さんが少しでも勇気づけられたらいいなと思います。
【村上】そうそう、五十路デビューこそがこれからの日本をつくっていくんじゃないかな。昨年はみんな55歳だったので、私たちは自称「GOGOガールズ」と言っていたんですよ(笑)。年齢については、そのぐらい前向きな気持ちで捉えています。正直、成果を出さなきゃという思いから眠れない夜もありますが、まだまだがんばっていくつもりです。
構成=辻村洋子
ゴールドマン・サックス証券会社、元日本副会長およびチーフ日本株ストラテジスト。1999年に提唱した「ウーマノミクス」の概念はその後広く世界に浸透し、日本政府も女性活躍推進を経済成長戦略として打ち上げるに至った。多様性、コーポレートガバナンスと持続可能性を経済合理性の観点から分析し、多くの企業や投資家に影響を与えている。2020年に『女性社員の育て方、教えます』を出版。ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学院卒。
OECD(経済協力開発機構)東京センター元所長。内閣府、経産省、外務省など多くの審議会で委員を歴任。2016年に上梓した『武器としての人口減社会』はアマゾン経済書部門にてベストセラーとなる。OECD以前は、主にニューヨークおよびロンドンのゴールドマン・サックス証券会社のマネージメント・ディレクターとして約20年間勤務。上智大学、スタンフォード大学院、ハーバード大学院卒。
1961年生まれ。「働き方改革実現会議」など政府の政策策定に参画。婚活、妊活の提唱者。著書に『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP研究所)など多数。