元ぐるなび広報の栗田朋一さんは、「営業と同じように、広報も“心理戦”だ」と言います。「この人、何者?」と相手に思わせ、つい耳を傾けたくなる。報道関係者の心理を読んだ売り込みテクニックとは――。

※本稿は、栗田朋一『新しい広報の教科書』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

会社で電話対応する女性
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メディアから軽くあしらわれ、社内からは責められる

「広報」と聞くと、マスコミと直接やりとりする部署なので、華やかな仕事のイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、実際は地道な仕事の積み重ねが求められる仕事なのです。

新商品やサービスを発表するとき、会社としてはメディアに呼びかけて、広く報道してもらいたいと考えます。そこで広報は一生懸命リリースを送りますが、「ぜひ取材をさせてください」とメディアから次々と連絡が入るということは、まずありません。よほどの大企業でもない限り、それほど注目されることはないでしょう。

そこで、メディアに直接売り込むために電話をかけたり、報道関係者にメールを送りますが、軽くあしらわれ、めったによい返事は返ってきません。そして、社内からは商品が売れないと「広報のPRの仕方が悪い」などと責められたりもします。

広報は仕事をなかなか評価してもらえない部署でもあるのです。

相手と対等な関係を築くには

広報は「報道してもらってナンボ」という立場にあります。「マスコミにお願いしても、邪険に扱われる」と嘆く広報担当者も、大勢いるでしょう。だからといって、こびへつらって「ぜひ、○○新聞さんで取り上げてください。お願いしますよ~」と頼み込む必要はないと私は考えています。

報道関係者は、絶えず報道するための情報を探しています。こちらがいい企画を持ちかければ、情報を探す手間が省けるというメリットもあるのです。その情報をもとに記事を書いたり、番組用に撮影して評判になれば、彼らにとってもうれしいことです。

それゆえ、対等の立場だと考えて売り込んでいいのです。横柄な態度をとるのは論外ですが、ペコペコ頭を下げてお願いする必要はありません。相手が対等に接してくれない場合は、対等になるように仕向ければいいのです。

そのために私が実践している方法をご紹介します。