チーム全体の「熱量」を高めるには

経営の名著『ビジョナリーカンパニー』(日経BP社)には、次のような主旨の記述があります。「強い会社には、カルトのような独特の空気がある」と。

受験勉強を思い出してください。予備校や塾のあのムードです。今、振り返ると、熱病に侵されているように、必死になっていませんでしたか。私も模試の順位に一喜一憂したものです。

でも、あの独特な空気があるから、頑張れた人も多かったはず。

目標達成に強い組織には、予備校のような「頑張れる空気」があります。あなたの職場にも、そんな「頑張れる空気」を充満させておくことで、各メンバーの生産性が大幅に上がります。

とはいっても、ハチマキを絞めて「達成あるのみ」と軍隊のように妄信的になることではありません。むしろ目標達成をゲームととらえ、創意工夫によって、自分たちの限界を超える挑戦を後押しする状況を指します。その意味では、スポーツに近いともいえるでしょう。

メンバーが主体的に、達成に向けて努力したくなる空気をつくる――これこそが、メンバーを「達成モード」に導くのです。

「達成モード」のスイッチをオンにし続ける

どんな組織も、時間とともに熱量は下がってくるものです。常に熱量の高い「達成モード」を維持し続けるために、次の3つのことを試してみてください。

① 進捗を“矢継ぎ早”に共有する

もし、達成モードでないなら、進捗の共有を1日に2~3回は行いましょう。

実は、今、注目されている考え方に、「進捗の法則」があります。これは、「前進を矢継ぎ早」に見せることが「やる気」に影響を与える、というものです。例えば営業職で契約を取ってきたら、すぐにそれを実績として反映させるのです。事務所の壁やモニター、またはメールやチャットなどで、「チーム」「個人」の目標と、実績数字の進捗を、リアルタイムで共有してみてください。

② 対策をチームで話し合う

チームの目標が厳しいときには、スポーツの試合でタイムをとるように、一度、メンバー全員を集めて、対策を出し合ってみてください。逆境のときこそ、結束を強めるチャンス。そこから対策のための知恵を引き出すのがリーダーの役割です。

③ 小目標の達成を称え合う

週、日ごとなどの単位で小さな目標を決め、達成したら、「おめでとう」「お疲れさま」とお互いの目に見えるように称え合います。心理学では「画像優位効果(Picture Superiority Effect)」と呼ばれますが、言葉そのものより、お互いが称え合うというシーンの「画像(絵)」のほうが、人の心を動かします。

このように、強い組織には、独特の雰囲気があるものです。常に「達成モード」になっているかどうか、気を配っておきましょう。

NG 「自分の頑張り」で乗り切ろうとする
リーダーだけの力で現状を打開しようと思っても、チーム全体が動かない限り、決して好転しません。
OK 「チームの結果」を促して全体の熱量を高める
逆境の時こそ、チームの結束を深めるチャンスです。メンバーを集めて、目標達成のための知恵を引き出す工夫をしてみましょう。
伊庭 正康(いば・まさやす)
らしさラボ代表

1991年、リクルートグループ入社。営業部長、フロムエーキャリア代表取締役を歴任後、2011年に研修会社らしさラボを設立。YouTubeチャンネルでも営業のノウハウを配信中。近著に『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)がある。