※本稿は、平井孝幸『仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
“虫歯で2週間絶不調に”口腔ケアは仕事の成果に直結する
口内環境が良い状態に保てないと、仕事に悪影響を及ぼします。歯科医への通院時間もかかりますし、費用もかかる。もちろんメンタル面で痛みへのストレス、不安、治療への恐怖といったものもあります。口内環境と仕事のパフォーマンスには、密接な関係があるのです。
どうしてここまで力説するのかと言うと、私自身が身をもってそのことを知っているからです。もともと歯磨きなど最低限のケアはしていましたが、斜めに生えていた親知らずが虫歯になってしまい、抜かなければならなくなってしまいました。やっかいな場所にあったために、大学病院で抜くことになったのですが、その前後の仕事への影響は甚大でした。抜いたあとの2週間は、時折やってくる激しい痛みで集中力を奪われクリエイティブな仕事に支障をきたしたものです。
もう二度と同じような思いをしたくない。また、同じような思いを人にさせたくないと思いました。そこで、オーラルケアについて、歯科医や研究者から学ぶなどさまざまな勉強を始め、勧められたオーラルケアアイテムはすべて使い、多くの歯科クリニックに行ったのです。
歯磨きだけでは口の中を100%キレイにできない
DeNA社内で研修を行って改めてわかったことは、口内環境を守るために、何をやらなければいけないのか、教わったことのない人たちが相当多いということでした。
オーラルケアといえば、歯磨きを思い浮かべる人がほとんどですが、実は歯ブラシでの歯磨きだけでは、歯間の歯垢除去率は58%に過ぎません。その58%も、きちんとしたブラッシングができている人たちの数字です。適当にやっていたり、歯ブラシが古くなってしまっていたりすると、58%という数字はもっと下がります。毎日3回、歯を磨いていたとしても清掃効率が著しく低下している人もいるのです。
つまり、約4割以上の歯垢は、そのままずっと口の中に残ってしまっているということです。これが、口の中が気持ち悪い状況を生み出し、さらに虫歯や歯周病など悪い状態へと気づかないうちに進ませてしまうことになりかねないのです。
またライオン歯科衛生研究所の調査(※1)によれば、ある会社の社員2389人のうち、歯に関わるお休みがのべ500回ほどあったのだそうです。ところが、きちんとした歯科指導を受けたことで、これが翌年、220回程度にまで減りました。半減です。
企業がきちんと歯に対するケアを社員に対して行えば、歯にかかわる休みを半分以下にできるということです。実際には、休む数字が半分以下になったわけですが、歯が痛んだり、不安感などもなくなっているので、生産性はもっと高まっているはずです。
※1 市橋他、第1回アジア太平洋ヘルスプロモーション・健康教育学会、2009年