IOWN構想に世界のIT大手中心に30社超が参画

インテルに続き、澤田社長はその後も米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、米デル・テクノロジーズのマイケル・デルCEOをトップ外交で輪に引き込んだ。

今ではIOWN構想へはNECや富士通、ソニーなどの日本勢も参画する。人工知能(AI)の分野で注目を集める米エヌビディア(NVIDIA)の参画も決まり、今や同構想の推進団体に加盟した企業は、世界のIT大手を中心に30社を超えた。

さらに、NTTはNECとも2020年6月に資本提携した。「電電ファミリー」の復活だ。

両社が取り組むのは基地局の開発・展開に始まり、ポスト5G時代の光技術を活用した通信機器の開発、光海底ケーブルや人工衛星を利用した新たな通信など多岐にわたる分野だ。現在は100人体制でプロジェクトを進める。

経済・技術覇権を巡る米中対立も追い風となった。中国・華為技術(ファーウェイ)に対する安全保障上の問題が浮上。「通信安保」の観点から欧米諸国ではファーウェイ外しが相次いでいる。英国はファーウェイ排除を決めた。

iモード「ガラパゴス化」の教訓

5Gの基地局といったインフラ分野ではファーウェイなど、大手通信機器メーカーの囲い込みを避けるべく、新興メーカーでも参入しやすいオープン化の流れが拡大してきた。

2019年の世界の基地局市場の売上高シェアでは、ファーウェイと北欧のエリクソン、ノキアの3強が80%近くを握る。NECや富士通といった日本勢のシェアはわずか1%程度だ。

ノキア
写真=iStock.com/lenscap67
※写真はイメージです

ネットやスマホの基盤を活用したサービスでは「GAFA」が世界市場で圧倒的なシェアを誇り、時価総額はNTTの10~20倍と大きく水をあけられた。

NTTがリスクを取って開発を手掛け、NECが基地局や携帯やスマホ端末を作る。そうやってNTTをピラミッドの頂点として「iモード」を展開したが、当時、世界で大きなシェアを誇っていたフィンランドのノキアや米モトローラといった端末メーカーも、iモード対応端末をなかなか作らなかった。

そのためiモードは実質1億人規模の日本市場にとどまり、世界と異なる進化を独自に突き進み「ガラパゴス化」してしまった。