“掘り出し物”が見つかる可能性が高まる

近年、恋活・婚活の分野でAI活用が進む背景には、おもに3つの理由がありそうです。

1つ目は、人手不足と低コスト化対策。先のチャットボットによる「プロフィール写真を4枚アップしたら?」などのアドバイスも、すべて人間が行えるなら良いのですが……、そのためには、多くの人手と人件費がかかる。それよりは、「人間代行型」のAIが24時間対応してくれるほうが、はるかにマンパワーやコストを抑えられます。

2つ目は、恋愛段階の「なんとなく」や「ビビッと」を、AIが導き出す可能性があるから。

既述の通り、旧来の条件型マッチングでは、どうしても昔の「三高」のような人気者に、好みが集中してしまう。逆に、条件が芳しくない男女は「会ってみるといい人」でも、初期のマッチングでは見過ごされるケースが多い。

でも「人間拡張型」なら、そうした「なんとなく」や「ビビッと」など、人間が対面で本能的に感じ取る感覚を、AIが過去のデータから導き出してお薦めしてくれる。つまり、掘り出し物を探せる確率が上がるわけです。

政府も「AI婚活」を支援

そして3つ目の理由は、国が打ち出した「AI婚活」に対する支援。

21年度から、内閣府はAIやビッグデータを使った自治体の婚活事業、いわゆる「AI婚活」に取り組む自治体への補助を拡充することを決定。そのため、民間だけでなく行政機関からも、AI婚活が注視されているのです。

具体的には、21年度の概算要求に、少子化対策費用として20億円を計上。自治体がAI婚活のシステム導入時の費用の、約3分の2を支援するというもの。

こうした試みが「少子化対策」の一助になる、とも考えているようです。

ただし婚活は、AIだけでなく、かつての「おせっかいオバサン」のような「顔が見える人からの後押しやアドバイス」が重要とされる分野でもあります。

その意味では、AIだけでなく、生身の「コンシェルジュ(相談員)」が24時間アドバイスしてくれる、ペアーズの結婚コンシェルジュアプリ「Pairsエンゲージ」のようなサービスも今後、人気を博すのではないでしょうか。

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター

マーケティング会社インフィニティ代表取締役。修士(経営管理学/MBA)。2020年4月より、立教大学大学院・客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。財務省・財政制度等審議会専門委員、内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか、著書を機に流行語を広める。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。