想定外の出会いを引き出すAIのマッチング力

そしてもう一つ、AIの活躍の場が、ペアーズの強みでもある「価値観」に基づくマッチング。

18年、同社は東京大学と共同で、AIを駆使したマッチングアルゴリズムの研究開発に着手しました。

旧来型のマッチングアプリは、「条件マッチング」が大半でした。すなわち、利用者が相手に求める「スペック(年齢や学歴、身長ほか)」を基に検索したり、共通の趣味を持つ相手を自動的に表示してくれたり(レコメンド)など。

ですがこれでは、「想定内」の出会いしか起こりにくい。極端に言えば、「身長175センチ以上」を希望する女性は、「他の条件はピッタリなのに、身長174.9センチの男性とは出会えない」ことにもなりかねません。

ところが近年は、「なぜなのかはよく分からないが、Aという趣味の男性とBという趣味の女性は、マッチング確率が高いようだ」などを、AIが機械学習やパターン認識技術を通じて導き出してくれるようになった。

そのためペアーズと東大は、これまでに蓄積した累計1000万人にも及ぶ膨大な会員データを基に、利用者のプライバシーに配慮した上で、独自のアルゴリズムの開発を進めているというのです。

実は近年、ほかにもAIを恋活・婚活に取り入れるサービスが増えています。

AI活用の8分類

例えば、「いいね!」をクリックした相手(好み)のタイプをAIが学習し、相性の良さそうな異性を毎日ピックアップする「Match(マッチドットコム)」や、心理学と統計学を掛け合わせてAIが最適マッチングを行う「with(ウィズ)」、「顔がタイプ」な異性だけをAIが識別して表示する「MORY(モリー)」など。

ZOZOグループでAIプロジェクトを手がける、ZOZOテクノロジーズの野口竜司さんは、著書『文系AI人材になる』(東洋経済新報社)の中で、AIの機能とタイプを、以下8種類に分類しました。

AI活用の8分類

先のチャットボットは「人間代行型」で「会話系」のAI、またペアーズが価値観マッチングに活用するのは、「人間拡張型」で「予測系」のAIと言えるでしょう。