「最強のプラン」を出してきた楽天モバイル

一方で2番目の勢力である楽天モバイルは、これまでのプランでは市場の10%であるデータ無制限需要に特化する形になりそうでした。他社が6600円近辺の価格設定なのに対して、楽天は2980円でデータ無制限ですから、生き残りやすいのはこのハイエンド市場ということになります。

実際は「それでは生き残りは難しい」という判断でしょう。1月29日に楽天は新しい料金プランを発表しました。それはデータ容量無制限で2980円という現行プランは維持しつつ、20GB以下の場合は自動的に1980円、3GB以下なら980円、1GB以下は無料になるという新料金です。これは市場が一番大きい3GB以下ユーザーにとってほぼほぼ最安値プランになるはずです。

電卓の上にブタの貯金箱
写真=iStock.com/agrobacter
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しかも発表では「使用量に合わせて料金が引き下がる」ということなので、これまで契約を多めに設定しすぎていた大半のユーザーにとってもこれが最良のプランになります。つまり楽天携帯は大手3社対抗について最強のプランで対抗する姿勢を見せたことになるのです。

最大の弱点は「基地局が建設中なこと」だが…

そう考えると、一番生き残りが難しいのが三番目の勢力であるMVNO勢です。ahamo発表後、関西電力系のmineoは5GBで1380円、1GBで1180円の新価格を発表しています。それ以外のMVNO勢も基本的な考え方は同じで、UQモバイルよりもお得な価格を打ち出すことでなんとか需要を引き留めようと考えていたようですが、楽天の価格変更で雲行きがあやしくなってきました。

ただ楽天の最大の弱点は基地局がまだ建設中だということです。無制限プランが適用されるのは自宅が楽天の基地局につながる消費者だけであって、そうでない場合はKDDIの基地局経由での月額5GBプランになるというのが楽天携帯の弱点です。

楽天携帯の基地局はまず東京23区に集中して建設が始まり、結果23区ではそれぞれ3桁の数の基地局の建設が完了しています。実際、都内で利用する分にはまずまず楽天モバイルは快適です。

一方で直近の総務省の電波利用ホームページで確認すると、同じ東京でも武蔵野市の基地局数は9、立川市が11とまだ建設途上の状況です。横浜も神奈川区84、西区79、鶴見区65あたりの建設ペースはいいのですが、相模原市の基地局は3区合計で6、藤沢市は5、逗子市は3といった具合で、場所による差が大きいという加入者にとってのリスクが存在しています。

とはいえ楽天モバイルの基地局の増強が進めば進むほど、この弱点は解消されるわけで、格安スマホの第三勢力にとっては楽天の存在は時限爆弾のように重たくなっていくことでしょう。