俳優の香川照之さんは「東大にいったことがずっとコンプレックスだった」と話している。フリーライターの菅原圭氏は「世間の価値観と一致することが“いい人生”ではない。香川さんの告白からはそのことが学び取れる」という――。

※本稿は、『ものごとに動じない人の習慣術(新装版) 冷静でしなやか、タフな心をつくる秘訣』(KAWADE夢新書)の一部を再編集したものです。

調子が悪いときがあってもいい

自分でも信じられないほど、どんどん仕事が片づいていくことがある。そんなときは、結果までついてきて、自分でも「オレは仕事ができる!」と確信に近い思いがある。いわゆる絶好調だ。

MTG社のEMSトレーニング機器「SIXPAD」の新製品発表会に出席した俳優の香川照之さん(東京都港区のリッツ・カールトン東京)
MTG社のEMSトレーニング機器「SIXPAD」の新製品発表会に出席した俳優の香川照之さん(東京都港区のリッツ・カールトン東京)=2018年9月14日(写真=時事通信フォト)

そうかと思うと、やることなすこと裏目に出て、絶対、勝てるはずの企画コンペだったのに、思わぬ伏兵に敗れてしまう。誰もが驚くような負け! 自分でも、なぜだかわからない。こういうときは絶不調だったとしかいいようがない。

こんなふうに、自分でも、優秀なんだかダメ人間なのか、わからなくなることはないだろうか。

まあ、どっちの自分もまぎれもなく自分自身なのだが、どうせなら、優秀な自分とだけ向き合って生きていったほうがずっと気分がよいのではないか。絶好調ならば、そのまま勢いにのっていけばいいが、問題は絶不調のときに、どうするか、である。

どうにも、うまく自分をのせられない。がんばろうとするのだが、力が湧いてこない。我ながら、冴えがない。こういう不調時は、いまは勝負するときではないと割り切ってしまう、という手もあることを知っておきたい。