「2025年問題」「2050年問題」という恐るべき未来

このダブルケア問題がさらに進行すると、どんな未来が待っているのでしょうか。

相馬直子,山下順子『ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア』(ポプラ新書)
相馬直子,山下順子『ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア』(ポプラ新書)

まず考えられるのは、「2025年ダブルケア問題」です。すでに70代を迎えた、いわゆる第一次ベビーブーマー(団塊世代)は、1947年から1949年(昭和22~24年)生まれの世代で、約270万人ずついます。この世代の介護を担うのが、第二次ベビーブーマー(団塊ジュニア世代)なわけです。団塊ジュニア世代が第1子を出産したときの母親の平均年齢は30歳前後であること、またこの世代で35歳以上の出産が増加したことを考えると、2025年に50代前半となる団塊ジュニア世代は、10代の子育てをしながら、団塊世代の親の介護を担う可能性があります。これが「2025年ダブルケア問題」です。

さらにその後は、「2050年ダブルケア問題」が控えています。団塊ジュニア世代は、1971年から1974年(昭和46~49年)生まれで、約210万人ずついます。結局、第三次ベビーブームは起こらず、出生率は1・5前後のままでした。団塊ジュニア世代が75歳以上の後期高齢期となるのが2050年前後だとすると、兄弟姉妹数がより少ない「未来世代」が、仕事や育児をしながら介護を担うことになります。これが「2050年ダブルケア問題」なのです。

相馬 直子(そうま・なおこ)
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授

1973年生まれ。子どもや女性が自由に生きられる社会の条件や道筋について、家族政策の比較研究から考えている。

山下 順子(やました・じゅんこ)
ブリストル大学社会・政治・国際学研究科上級講師

1974年生まれ。ヨーロッパと東アジア諸国を比較しながら、社会政策が人々の家族関係や介護関係にどんな影響を及ぼすのかを研究する。